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子どもの歯並びの土台は“お口の使い方”!トレーニングで整える「MFT」とは?|あらやクレール歯科クリニック|秋田市新屋町の歯医者

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子どもの歯並びの土台は“お口の使い方”!トレーニングで整える「MFT」とは?


「うちの子、ずっと口が開いてるかも…」

「歯並び、少しガタガタしてきたような…?」

そんな気づきがあったら、“お口の使い方”に注目してみてください。


 歯並びや噛み合わせの乱れには、口呼吸・舌の癖・正しく飲み込めない癖など、口の機能が関係していることも少なくありません。


今回は、前回ご紹介した【お口ポカン・いびき・口呼吸】などの“お口のSOS”の原因にもなる「口腔機能発達不全症」と、それを改善するMFT(口腔筋機能療法)について、お伝えします。


▶ 前回の記事はこちら

お口ポカン・いびき・口呼吸…放置するとどうなる?子どものお口のSOS


■「口腔機能発達不全症」とは?


口腔機能発達不全症とは、食べる・話す・呼吸するなど、お口の働きがうまく育っていない状態のことです。

たとえば、以下のような状態は、口腔機能発達不全症の症状かもしれません。


  • いつも口が開いている(口唇閉鎖不全)

  • 舌が常に下にある(低位舌)

  • 飲み込むときに舌が前に出る(舌突出癖)

  • 鼻でなく口で呼吸している(口呼吸)


これらは成長に伴って治ると思われがちですが、単なる癖ではなく、歯並びやあごの成長にも影響する「機能的な問題」なのです。子ども本人では気づきにくいため、親御さんや園・学校の先生の気づきが大切です。


■MFTとは?歯並びの“土台”を整えるお口のトレーニング


MFT(Myofunctional Therapy)は、舌・唇・頬などの筋肉を正しく使えるようにするリハビリのような療法です。


「筋トレ」と聞くと大げさに感じるかもしれませんが、実際はお口まわりの小さな運動をコツコツと習慣にすることで、舌の位置や飲み込み方、口の閉じ方を改善していくのがMFTです。


◎MFTで改善が期待できること

  • 舌の位置の改善(低位舌→正しいポジションへ)

  • 唇が閉じやすくなる(口呼吸→鼻呼吸へ)

  • 飲み込む動作の正常化(舌突出癖の改善)

  • 表情や姿勢の変化にも良い影響が期待されることも


MFTは、矯正治療と並行して取り入れられることも多く、治療の安定性や後戻り防止に役立つとされています。


■MFTは何歳から始める?どんなことをする?


MFTは、5〜10歳ごろの「歯が生え変わる時期」にスタートするのが理想的とされています。この時期は癖が定着しきっていないため、改善しやすく、口腔機能の発達にも良い影響を与えやすいです。


◎実際のトレーニング内容(例)

トレーニング名

内容

目的

スポット訓練

舌先を上顎の決まった位置(上の前歯の少し後ろ)に当て、数秒キープする

舌の正しい位置を覚え、口を閉じやすくする

リップ閉鎖訓練

唇をしっかり閉じて5〜10秒キープ。慣れたら回数を増やす

口呼吸の改善・唇の筋力アップ

ボタン引っ張り訓練

糸でつないだボタンを唇の間に挟み、引っ張っても落ちないように保持

唇を閉じる力(口唇閉鎖力)を高める

風船トレーニング

小さな風船を口で膨らませる

頬や唇の筋肉を鍛え、息を吐く力をコントロールする

発音トレーニング

「ウー」「イー」など母音を繰り返し発声し、舌や唇の動きを意識する

舌と唇の協調運動を整える

飲み込み練習(嚥下訓練)

舌を上あごにつけたまま、歯を噛み合わせてゴックンと飲み込む

舌突出癖の改善・正しい嚥下動作の習得


これらのトレーニングは、1日数分から無理なく続けることが大切です。

遊びや生活の中で自然に取り入れると、子どもも楽しみながら続けやすくなります。


また、正しい動かし方を習得するために、歯科医院で小児矯正とあわせた指導を受けながら進めるのがおすすめです。


■歯並びの治療は「お口の使い方」から始まる


歯がガタガタになったからといって、すぐに矯正装置をつけることが最善とは限りません。

まずは、なぜその歯並びになったのかという「原因」に目を向けることが大切です。


  • なぜ舌が前に出てしまうのか?

  • なぜ口が開いたままになるのか?

  • なぜ歯が押されて動いてしまうのか?


こうした根本的な問題には、舌・唇・頬などの「使い方」=口腔機能が関係していることが多くあります。MFT(口腔筋機能療法)は、これらの筋肉のバランスや動かし方を整え、「機能的な土台」から歯並びを支えるトレーニングです。


また、MFTは矯正治療の前段階の準備としてだけでなく、治療後の後戻りを防ぐサポートとしても重要視されています。「装置を外したら終わり」ではなく、きれいな歯並びを長く保つためのトレーニングとして続けることで、より安定した結果が期待できます。


■子どもの歯並びは“機能”が支えるもの


歯並びは見た目だけでなく、舌・唇・頬・呼吸・嚥下(えんげ)など、お口全体の使い方によって大きく左右されます。

そのため、口腔機能が正しく育っていないと、せっかく矯正をしても歯が元の位置に戻ってしまうこともあります。


MFT(口腔筋機能療法)は、こうした「使い方のくせ」を整え、正しい成長のサポートをするトレーニングです。日々のトレーニングを通して、噛む・飲み込む・話す・呼吸するといった基本の動作を自然に身につけられます。


「口が開きがち」「舌が前に出ている気がする」など、少しでも気になるサインがあれば、まずはお気軽にご相談ください。



あらやクレール歯科クリニック
歯科医師
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